「搭乗者傷害保険」でケガの補償を手厚く
保険契約のある車に搭乗している人が事故によりケガをしたり死亡してしまったりした場合に補償されるのが「搭乗者傷害保険」です。
搭乗者傷害保険の特徴
運転者、同乗者に関わりなく契約している車に乗っている方全員が補償対象になります。また支払われる保険金額は実際の損害額に関係なく契約時に定められた金額を受け取ります。たとえば死亡した場合は1,000万円が定額で支払われたり、ケガをした場合は、ケガの部位や症状に応じて保険会社が定めた金額を保険金として受け取る事になります。
支払われる保険金の内容
搭乗者傷害により支払われる保険金の内容は保険会社により異なる事がありますが、おおむね次の内容となります。
- 死亡保険金
- 事故の日から180日以内に死亡した場合は、契約時に設定した保険金額の全額が支払われます。すでに後遺障害保険金、あるいは重度高度障害保険金が支払われている場合はその分を差し引いた額が支払われます。
- 重度後遺障害保険金
- 事故の日から180日以内に後遺障害が生じ介護を要すると認められる場合は、契約時に設定した保険金額の10%が支払われます。
- 後遺障害保険金
- 事故の日から180日以内に後遺障害が生じた場合は、症状に応じて契約時に設定した保険金額の4%~100%が支払われます。
- 医療保険金
- 事故によるけがで入通院日数が4日以下の場合は一律1万円が支払われます。また入通院日数が5日以上の場合はけがの部位・症状に応じて各保険会社が定めた一定の金額が支払われます。通常、保険金は治療が終了した後、つまり入院や通院の日数がはっきりした後に支払われることになるのですが、衣装保険金はその前に保険金を受け取ることができ、これが大きな特徴となります。保険金の受け取りに時間がかからない分、入院や通院時の経済的不安が軽減されます。
- 医療保険金の例:そんぽ24の場合(2013/11/1現在)
- 頭部の打撲:5万円
- 手足の骨折:20万円
- 臓器の損傷:90万円
※上記の支払いの条件や保険金額は保険会社によって異なることがあります。
搭乗者障害保険のメリット
人身傷害補償保険が登場するまでは同乗者のケガや死亡の場合に備えて搭乗者傷害保険を付帯するのが一般的でしたが、現在は人身傷害補償保険に追加して保障を手厚くするために特約として付帯するケースが増えています。搭乗者傷害保険のメリットは部位や症状によって保険金額が定められているため、手早く保険金が受け取れることにあります。
たとえばもらい事故の場合、相手の対人賠償責任保険から保険金が支払われますが、それとは別に搭乗者傷害保険で設定されている保険金額を受け取ることができます。この保険金を当座の資金として仕事の休業などで生じる経済的損失に備えることができます。
事故で負傷をした場合の経済的損失は単なる治療費だけにとどまらず家計への影響も生じます。一家の大黒柱が当面の間仕事ができなくなるとすれば、住宅ローンや食費、子どもの学費など生活全体に大きな影響を及ぼすことになります。万が一の時の経済的な補償を提供してくれるのも搭乗者傷害保険のメリットです。しかも相手方の賠償とは別に受け取ることができるため、事故で受けた精神的苦痛を多少なりとも和らげることができるという利点もあります。
人身傷害補償保険との違い
搭乗者傷害保険への契約を検討する際には、人身傷害補償保険との違いを比較することが必要です。
比較ポイント | 搭乗者傷害保険 | 人身傷害補償保険 |
---|---|---|
補償の対象 | 契約している車に搭乗者全員 | 搭乗者傷害保険の対象者に加え、被保険者とその家族は歩行中の自動車事故や他人の車に乗車中の事故についても補償される。ただし人身傷害補償保険を車内の補償のみに限定すると、搭乗者傷害保険と同様に契約している車に搭乗中の事故のみ補償される。 |
保険金の内容 | 契約時に約定した定額の保険金を受け取る。またケガの場合は、部位・症状別に定められた金額を受け取る。 | 治療費に加え、治療関係費、休業損害、逸失利益といった実際の損失額を受け取る。 |
- 契約している車の搭乗者が自動車事故により死傷した際に補償される
- 保険金額は部位・症状別に一律に決まっている
- 実損額の調査が無くスピーディに保険金が支払われるため当座の費用にあてることができる
- 人身傷害補償保険との違いを把握することが大切である