搭乗者傷害保険VS人身傷害保険!お得なのはどっち?
自動車保険のプランを考えるとき、似たような補償に人身傷害保険と搭乗者傷害保険の2つがあり、2つとも加入した方が良いのか、あるいはどちらか一方に加入した方が良いのかはよく迷います。この2つの保険はどこがどうちがうのでしょうか。
人身傷害も搭乗者傷害も契約車両に乗っている人が補償の対象
人身傷害補償も搭乗者傷害補償も自動車に乗っている人が補償の対象となる点では共通です。イメージとしては人身傷害補償と搭乗者傷害補償をセットで加入している場合人身傷害補償が基本補償で、搭乗者傷害補償はその上乗せ補償といった感じです。
どちらも、契約車両に乗っている人が補償の対象となる点は同じです。歴史的に言うと、かつては人身傷害保険は存在せず、被保険者が自動車事故でケガや死亡した場合の補償は搭乗者傷害保険から支払われていました。1990年代に入ると自動車保険の自由化によって人身傷害保険が登場し、各社のスタンダードになっていきました。現在でも搭乗者傷害保険が残っているのはかつての名残のようなものです。
したがって、保険料をできるだけ安くしたいという場合には、人身傷害保険のみに加入し搭乗者傷害保険は付帯させなくても大丈夫です。付帯させなくても、人身傷害保険に入っていれば事故の際に十分な補償を受けることができます。
人身傷害保険は過失の有無にかかわらず、ケガの治療費や障害が残った場合の補償金、死亡した場合に遺族に支払われる保険金が支給されます。こちら側の過失割合が高い場合、加害者が加入していた自動車保険から十分な保険金が受けられないことが多いのですが、人身傷害保険に加入していればそれから十分な保険金が支給されますので、安心です。
人身傷害保険と搭乗者傷害保険の違いについて
人身傷害保険は、記名被保険者やその配偶者及びその家族などが契約車両を運転中に事故に巻き込まれ、ケガ・後遺障害・死亡などがあった場合、治療費・障害の補償費・遺族に対する補償金を支払うという保険です。運転者の過失割合に関わらず、実際の損失額を契約で定められた限度額の範囲内でその全額を補償します。
搭乗者傷害保険の場合、記名被保険者やその配偶者その家族などが契約車両を運転中に事故に巻き込まれ、ケガ・後遺障害・死亡などがあった場合に、実損額ではなく契約であらかじめ決められた金額を補償するというものです。搭乗者傷害保険には日払いと部位別症状別払いの2つの支払方法があります。
日払いとはケガを治療するためにかかった日数に応じて、たとえば、入院1日15,000円、通院1日10,000円と言うように、入院通院の保険金単価×入院通院日数で計算される保険金を支払うというものです。以前は、ほとんどの保険の搭乗者傷害保険はこの方式を採用していましたが、今はすたれており、現在はこの方式で搭乗者傷害保険の保険金を支払うのはそんぽ24のみとなっています。
症状別部位別払いとは「腕の骨折35万円、手足の打撲5万円」といったように、ケガをした部位と症状によって保険金額が決まる方式で、現在主流となっている支払い方式です。
たとえば、セゾン自動車の搭乗者傷害保険の保険金は以下のようになります。
被保険者が被った傷害 | 入通院一時金の額 |
---|---|
1.下記2~8以外 | 10万円 |
2.骨折又は歯牙を除く部位の脱臼 | 30万円 |
3.眼を除く部位の神経損傷又は神経断絶 | 30万円 |
4.腱、筋肉、靭帯の断裂 | 30万円 |
5.上肢又は下肢の欠損又は断裂 | 50万円 |
6.眼の神経損傷若しくは神経断裂又は眼球の破裂又は損傷 | 50万円 |
7.胸部又は腹部の破裂又は損傷 | 50万円 |
8.脳挫傷、脳損傷、頭蓋骨血腫、頸椎損傷又は脊椎損傷 | 100万円 |
搭乗者傷害保険の方が保険金の支払いがスピーディー
人身傷害保険と搭乗者傷害保険の大きな違いは保険金の算定方法です。人身傷害保険の方は実損額に基づいて補償金を算定します。一方で搭乗者傷害保険の方は、実損額に関わらずあらかじめ契約で定められた保険金額が支給されます。実損額を算定する手間がない分、搭乗者傷害保険の方が保険金の支払いがスピーディーに行われます。
搭乗者傷害保険の場合、保険会社に入院通院したことを証明する書面(医療費の支払い証明書など)や診断書があれば、すぐに保険金の請求ができます。一方、人身傷害保険の場合には、さまざまな調査を経て実際に被害者が受けた損害額が確定しないと保険金の請求ができないため、保険金の支払いまでには時間がかかります。
人身傷害保険と搭乗者傷害保険どっちに加入するのが得か
人身傷害保険と搭乗者傷害保険はどっちが得かということについては、人身傷害保険が基本保険で搭乗者傷害保険がその上乗せ保険という位置づけなので、どっちが得かというよりも、余裕があれば人身傷害保険と搭乗者傷害保険の双方に加入した方がいいでしょう。余裕がなければ、人身傷害保険のみに加入したほうがいいでしょう。
搭乗者傷害保険に加入していれば事故の際はすみやかに保険金が受け取れますし、より手厚い補償を受け取ることができます。しかし、人身傷害保険のみに加入していた場合でも、保険金の支払は遅くなりますが十分な保険金の支給があります。いずれにしても、搭乗者傷害保険は人身傷害保険の上乗せという位置づけなので、どちらか一方を選択して加入するという話にはなりません。