物損事故から人身事故への切り替え手続き
事故発生後に身体に異常が現れた場合の手続き
交通事故の被害者となったものの事故当時は身体に異常がなく、警察への報告も物損事故として報告した場合でも、事故後数日して身体に異常が現れ、慌てて病院へ駈け込んだというケースも少なくありません。
このような場合、事故発生から数日以内であれば、警察提出用診断書を医師に作成してもらい、それを事故発生場所を管轄する警察署に提出すれば、物損事故を人身事故に切り替えてもらえます。
警察で保管する「実況見分調書」の事故の種別が人身事故に変更されれば、人身扱いの事故証明書を発行してもえるようになります。この証明書があれば、病院での治療費を保険会社に請求できます。
事故の種別の変更が認められない場合の手続き
なお、事故発生から身体に異常が現れるまでに相当の期間が経過していると、医師の診断書を警察に提出しても、警察で「実況見分調書」の事故の種別を変更してくれない場合があります。事故発生から相当な時間が経過してから病院で治療を受けた場合、その病気が交通事故によるものかどうかはっきりしなくなるからです。
この場合には、保険会社から治療費の賠償を受けることが困難になります。ただし、警察から物損扱いの交通事故証明書を発行してもらい、それに「人身事故証明書入手不能理由書」を添えて提出することで、保険会社から賠償金を支払ってもらえることがあります。
症状の出現が事故発生からしばらく経過した後でも、事故と症状の出現に因果関係が認められる場合には、この方法を利用して保険会社に申し込んでみます。粘り強く交渉すれば賠償金の支払いが認められることもあります。
事故直後の病院での検査や警察への報告を欠かさないこと
交通事故の被害者となり、目に見える症状が無くても、打撲や軽い転倒などがあった場合には、必ず病院で異常がないかどうかを検査してもらいます。事故直後の受診で身体に異常が見つかれば、すぐに警察に報告して人身事故扱いにしてもらえます。人身事故扱いであれば、後から賠償金の請求に困ることはありません。
なお、事故の警察への報告も絶対に省略してはなりません。警察への報告を怠ると、物損事故扱いの事故証明書すら発行してもらえません。ですから、事故からしばらくして事故が原因と思われる症状により病院で治療を受けても、保険金から賠償期の支払いを受けることは絶対にできなくなります。