交通事故による正式裁判と略式裁判


正式な裁判を求める場合

検察官は、事件の調査の結果、事故の加害者である被疑者について、事故の加害者であることに間違いがなく、また、加害行為が犯罪を構成し、その証拠も十分で、かつ被疑者に情状酌量の余地がないときには、国家刑罰権の発動を裁判所に求めます。

このことを「公訴を提起する」といいます。そして、この公訴を提起する行為を、「起訴」といいます。普通に起訴という場合には、公判請求を求める起訴のことを指します。

この起訴には、2種類あります。一つ目は、正式な刑事裁判の手続きにより、被疑者に刑罰を求める起訴です。正式の裁判は、被告側と検察側が公開の法廷で弁論をおこないますから、公判といいます。よって、これを求める起訴を「公判請求」ともいいます。

この「公判請求」による起訴を求めるのは、100万円以下の罰金または科料を科しえない事件、書面審理が不適当で公判による審理が必要な複雑な事件、以下の述べる略式命令による処分を被疑者が拒否している事件、などの起訴を求める場合です。この手続きは、比較的重い交通事故の被疑者に対して利用されます。
 

略式裁判を求める場合

一方、起訴には、公判による正式な裁判手続きを求めるものの他、より簡易な手続きで、裁判所に国家刑罰権の発動を求める手続きもあります。刑事訴訟法では、簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、100万円以下の罰金または科料を科すことができる、と規定しています。

この略式命令は、正式な裁判の場合のように、検察官や被疑者、被疑者の弁護士などによる弁論を必要とせず、書面審理のみで、発することができます。また、この略式命令は、原則として、確定判決と同一の効力を持ちます。ですから、この手続きを利用すれば、正面審理のみの簡易・迅速な手続きで、一定の刑罰を被告人に科すことができます。

この略式命令による刑罰を被疑者に科すことを、裁判所に請求する手続きを、略式起訴といいます。

ちなみに、略式起訴ができるのは以下の条件をすべて満たす場合です。

  • 簡易裁判所の管轄に属する事件であること
  • 100万円以下の罰金または科料を科しうる事件であること
  • 略式手続によることについて、被疑者に異議のないこと

上記の要件から、明らかですが、在宅起訴は、簡易裁判所に対して行いま。また、略式命令では、100万円を超える罰金・科料、懲役刑や禁固刑は科せません。ですから、比較的程度の軽い交通事故事件の被疑者が対象になります。

交通事件即決裁判手続について

道路交通法第8章で定める交通に関する刑事事件については、簡易裁判所が、一定の場合に、1日の期日で判決を出すことができる、交通事件即決裁判手続が定められております。この即決裁判で、簡易裁判所は、50万円以下の罰金または科料を科すことができるとされています。

危険運転致死傷罪や過失運転致死傷罪など刑法上の罪について嫌疑がある場合には、この制度は適用されません。しかし、道路交通法に違反し、同法が定める行政刑罰で50万円以下の罰金または科料を受けるような場合には、この手続きの適用を受けることがあります。

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